2015/04/04

奈良原一高 王国


4年前にパウル・クレー展を観た時に、ついでに常設展も観たのですが、
奈良原一高さんの写真の一部も展示されていてずっと心に引っかかっていました。

それが今回展覧会としてシリーズを一度に展示してくれるというので、
仕事帰りに駆け込むように国立近代美術館の「王国」展へ。
(行ったのは2月です。現在は展覧会は終了しています)

北海道の修道院と和歌山の女性刑務所を撮影した写真の2部構成で、
外部と隔絶された空間で「極限状況」を生きる人間存在を見つめるというテーマ。
作品は全てモノクロで、絶妙な光と影のコントラストで静寂を表現していました。美しい。

「自らの必然によって求めた祈りの生活と法律によって強制隔離された生活、その動機は異なっていても、ともに閉ざされた壁の中の世界・・・、そのような壁は日常の心の中にもとらえがたい疎外の感覚となって介在していて、当時の僕はそのような自分の内部にある不安と空しさをこの「王国」の場をみつめることによって越えようとしていた」

声を大にして訴えかけるようなものは一切なく、ただそこに存在しているものを静かに切り取った作品たち。
にもかかわらず、自身の問いの答えを探し求める切実な感情が感じられます。
同時に、作者は「人間がいかに生きるか」という永遠のテーマに深い関心を寄せていたこともわかります。
この作品によって、少しでも答えは見つかったのかな…。
同じような動機で絵を描く人間としては、何かしらの発見があったのだと願いたい。

今回の展示作品は㈱ニコンによりこの美術館に寄贈されたものだそうです。
美術館の所蔵品として作品が生き続けると思うと、とても嬉しい。
きっとまた観にいくと思います。
10年後、20年後にまたこの作品と向かい合ったとき、自分はどう感じるのか興味深い。


奈良原一高 王国
2014.11.18~2015.3.1
東京国立近代美術館
http://www.momat.go.jp/index.html
千代田区北の丸公園3-1

展覧会情報
http://www.momat.go.jp/Honkan/naraharaikko/

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